おまけ:バスガイド編



もしも琴子がバスガイドだったら


「皆さま、今日はパンダイ観光バスにご乗車いただきありがとうございます。
 運転手は入江直樹、バスガイドは私入江琴子でーす。
 あ、ちなみに運転手は私のだんな様なんですけどね、 もう、とっても頭がよくて…」
「…出発します!!」
「あ、えーと、出発でーす」

「ここが秋葉原。
 ここにはオタク君がうようよしてるんですよ。
 かく言う私もその昔大学ではオタクのアニメ部に…。
 え?もう浅草に着くそうです。
 …って、着いちゃいました。
 皆さん、浅草ですよ〜」

「浅草はどうでしたか?
 そうそう、あの煙をかぶるといいって言うんですよね。
 私も行くたびにかぶっているせいか…」
「…バカは風邪ひかないって言うから」
「ムッ、入江くん…」

「次は皇居外苑でーす。
 天皇一家がお住まいなんですよね。
 そうそう、歌がありましたよね。
 ごらん、あれが…」
「…うるさい」

「えーと、出口はどっちだったかな。
 こっちかな。
 いや、違った。
 こちらです、こちらです。
 あ、皆さん、こちらですよ〜。
 …あれ、また違った。
 えーと、パンダイ観光のバスは…」
「何そんなところでうろうろしてんだ!
 こっちに移動するって昨日打ち合わせであっただろうが」
「あ、そうだっけ…。
 皆さーん、こちらにバスありました〜」
「…頼むからお客さん連れて迷子はやめてくれ」

「さて次は東京タワーですよー。
 高さはえーと、えーと…」
「333メートル」
「そ、そう、333メートルでした。
 と、とりあえず着いたようですので…」
「…ったく…」

「次は明治神宮です。
 そうです、お正月によく中継やってます。
 初詣に行ったら凄い人で…。
 え?おみくじ?
 ええ、いつもおみくじ引くんですけどね、
 あのときは大吉で…」
「…着いたぞ」
「もう、あれは運命の暗示としか…」
「…着いたってんだろっ」
「うわ、ごめんなさい。
 つ、着いたそうです」

「えー、そうですかぁ、私そんな若く見えます?
 もう、うまいんだからぁ。
 え?ああ、そう、今のが東京都庁です。
 あ、す、過ぎちゃいましたね…。
 ごめんなさい…。
 えーと、次は…次は…」
「帰るだけだろ」
「あ、そうか。
 バスは東京駅へ戻りまーす」

「お疲れ様でした〜」
「…本当に疲れたよ」


(2006/12/19)