ガールズトーク3




「ねえねえ、あの第一外科の早川先生、内科の看護師と一緒にいたとこ見たって」
お馴染み昼休みに一緒にお昼を食べる面々。実習の合間の出来事だ。
品川真里奈が桔梗幹にそうささやいた。
視線の先には噂の第一外科早川先生とやらが注文の品を受け取っているところだ。

「それって、不倫よね、不倫」
ウキウキしながらそういう話題も大好きな幹はささやき返した。

「どうして一緒にいると不倫になるの?」
おとぼけ風味満載で素直にそう聞いた琴子。

「その一緒にいたところが問題なのよね」
真里奈はスパゲティを食べ終わって声を潜めた。

「え、どこなの?」
身を乗り出して聞く幹。

またかよとあきれ気味に聞く耳持たない鴨狩啓太。
かつて自分もその不倫にはまろうとしていた過去もまだ記憶に新しい。

「そりゃ夜の繁華街を二人で歩いていれば、怪しいわよね〜」
「それは怪しい」
「えー、ただ歩いてただけでしょ」
琴子は幹にビシッと指を差されて言われた。
「あんたは黙ってなさい」
むっとしながらも一応黙る琴子。

「でもそんなことしてたらあっという間に噂が広まって、奥様にやばいんじゃ」
幹は顔をしかめて言う。
「あの繁華街って結構人がいるしね〜」
「もう奥様にばれたって」
突然の小倉智子の発言に、真里奈も幹も目を見張って驚いた。
「な、何でそんな情報を?!」
二人の不思議そうな発言に、先ほど食べ終わったらしいピラフの皿の入ったトレーを持ち上げて言った。
「あら、昨日、奥様が黒魔術の館に現れたって」
真里奈、幹、琴子は、智子の言葉をただ繰り返す。
「…黒魔術の館って…」

の、呪い?呪いなの?
ってか、それって効くの?
というより、どうして智子がそんな話知ってるの?

一同の頭の中で果てしなく疑問符が飛び交ったが、誰も正しい答えを得られなかった。
「さ、行きましょう。午後からも実習頑張らないとね」
涼やかな顔をしてそう言った智子がもっと怖かったなどと、口が裂けても言えない三人だった。

ガールズトーク…。
それは、お昼休みの恐ろしい秘密のお話…かもしれない。


(2009/10/26)