If〜もしも入江くんが車なら〜(真夏編)
「あつ〜い!」
炎天下、買い物に行こうと車に乗ろうとする。
いい色に焼けているボディ(単に車の色は黒というだけだ)。
そんな暑い中でも黙って待っている。ただ単に暑すぎて怒っているのかもしれない。
カチッ。
車のドアのロックを解除する。
ガチャ。
車のドアを開けると、そこでまた躊躇する。
今からこのサウナ状態の車に乗らなければならない。
エンジンを手早くかけて、真っ先にエアコンのスイッチを入れる。
『さっさと乗れよ。ここは暑いんだよ』
「そんなこと言ったって、中はもっと暑いんだもん」
『エンジンふかしてアイドリングすればそりゃ地球環境も悪くなるよな。そしてもっと暑くなるんだぜ』
「わ、わかったわよ、乗るわよ。乗ればいいんでしょ」
車に乗り込んでみたが、やはり暑い。
一応日焼けしないように長袖のシャツを羽織っていたが、とてもじゃないが着ていられない。
もう、いいや、脱いじゃおう。
キラリとライトが陽光に反射した。
「あ、あれ、なんだか冷たい風がなかなか来ない。
壊れちゃったのかなぁ」
あまりに暑いので、上着を脱いでもなお汗が出る。
思わずスカートをパタパタと振る。
少しだけ涼しい風が出た。
思わずエアコンに近づいて胸元をパタパタと仰ぐ。
首筋がもう少し涼しくならないかと、髪を上げてうなじを晒す。
プシュ〜。
どうやら本当にエアコンがショートしたようだ。
「え、やだ、何で〜」
その理由は入江直樹にしかわからない。
(2009.06.16)