その3、直樹の健診編
「入江くん、今度健診でしょ?」
「…ああ、そうだったかな」
「うふふ」
「…なんだ?(嫌な予感が)」
「では、入江先生、まずはレントゲンからです」
「…琴子?!」
「えっへっへ〜。健診係に立候補しちゃった」
「レントゲン室はあちらでーす」
「…知ってる」
「入江くんのレントゲン写真さえ愛おしいわ〜」
「次は心電図〜」
「おい、これ違ってる」
「あれ?」
「ここも!右と左付け間違えてどうするんだ!!」
「ご、ごめん」
「えーと、次は身長体重。背が高くて、と、届かない…」
「踏み台使えっ」
「あ、そうか」
「それからなんだっけ」
「採血やってない」
「あ、じゃあ、あたしが…」
「…誰か代わりにやってくれ」
「えーーー、ひどい、入江くん!」
「……(腕が紫色に…)」
「おまえ、忘れてないか?」
「へ?何?」
「尿検査、記入してないぞ」
「え?尿…」
「俺はちゃんと出しておいたぞ」
「(い、入江くんの…)わ、わかりました」
「……(なんで今さら…)」
「そうよね、夫婦だし、将来介護するかもしれないんだし。
ドーンと出して!」
「…もう出したって言っただろ」
「あ、そうか。…はっ、入江くんの尿検査を人にやらせるなんて…!」
(ダッシュでトイレへ向かう)
「で、あったのか?」
「…もうなかった」
「おまえな…」
「もう一度出してっ」
「お、おい、やめろっ」
「すぐ出るでしょ」
「バカ、誤解されるだろ、ズボン離せっ」
「え、だって、今出さないと」
「やめろっ、自分でやる!どけっ」
「ああっ、入江くん〜〜〜〜、待って〜〜」
そこへ師長登場。
「入江さん、入江先生の尿検査の結果、残ってましたよ」
「へ?ホントですか?」
「記入もれは検体を出してくれた患者さんの迷惑になりますよ」
「はい、すみません」
「気をつけて」
「え、ちなみに…どなたが検査を…?」
「…私ですが、それが何か?」
「はぁ〜〜、よかった」
「じゃあ、早く戻ってらっしゃい」
「はぁい」
「おい、何がよかった、だ?!」
「あ、入江くん。師長さんがちゃんと検査してくれてたんだって」
「だいたいおまえはっ(以下説教)」
「ご、ごめんなさい、入江くん」
「この埋め合わせは家に帰ってから…」
「な、何?」
「今度はゆっくり出させてもらうからな」
「…う、うん?!(何出すの??)」
「……(やっぱりわかってないな、こいつ)」
「出すって……、え〜〜〜!(今気がついた)」
「気づくの遅い」
「やっだー、入江くんのヘンタイ」
「誰がヘンタイだ、こら(…何か勘違いしてるらしい)」
「だって、そんなの出すなんて〜〜。…痴漢みたいじゃない」
「(出す意味が)違うだろ…」
(2008/11/20)