見抜く男
前編
あれは、そう、若き頃、彼の眼力はたいしたものだった。
「70AカップW60H83ってとこかな」
そのスリーサイズは、辛くもぴったりだった。
目をむいて怒った彼女だったが、そこにひとつの疑問が…。
彼は他の女でもその眼力を発揮することができるのか?
まずは松本姉。
「え?スリーサイズ?
何であなたにそんなこと言わなきゃいけないのよ」
「そうねぇ、入江さんにならベッドの上で教えてもいいけど」
「う、うるさいわねぇ、ちょっと言ってみただけじゃない。
で、何?入江さんにスリーサイズを当てられたって?」
「…あなた、それ当てつけてるの?」
「入江さんが当てようが、当てなかろうが、どうせ服の中身に興味があるのはあなただけなんだから、どうでもいいんじゃない?」
桔梗幹へ突撃。
「は?そうねぇ、上から…って、そんなの言えるわけないでしょ」
「…入江さんて医者でしょ、それも優秀な。
本当に凄腕の麻酔医は見ただけで身長体重当てられるというし。ほら、テレビでなんだったかしらね〜」
「まあ、確かに入江さんは麻酔医でもないし、高校時代と言ったら医者でもないわけだしね」
「そんなの知らないわよっ。
でも、少なくともそういうのがわかる人もいるみたいねぇ」
「でも、ま、あんたの発育状況ならだいたい想像つくんじゃないかしら?」
「ちょ、ちょっと、それアタシのせいじゃないわよ。
せいぜい入江さんにでも頼めば?」
「え?意味がわからないって?
はぁ…もう、そのカマトトぶり何とかならないかしら。
あんた、仮にも結婚してるんでしょ、全く、もう。
だいたいねー、バスタオル一枚で男の前になんて、あんたは自覚が足りないのよっ。
入江さんだったからよかったものの、他の男だったら餌食よ、餌食」
「ああ、はい、はい、他の女のスリーサイズ当てたら、あんたうれしいわけ?」
「だったら、放っておきなさい。いいじゃない、特技の一つで」
西垣先生は…どうだろう。
「ふーむ、何、僕に聞きたいわけ?
琴子ちゃんのサイズねぇ。
胸は…まずAカップだな。
ウエストは…細くもなく太くもなく。普通だね。
ほらよくいるじゃないか。わたし〜ウエストは〜58かな〜とか。ま、実際は63とかだったりするんだけどね。
尻は…ふむ…。
…って、なんだよ、入江。
あっ、ちょ、おまっ…nsふぃえr#*dtヴぉw」
ここで某氏により強制排除。
やはり彼の特技は並大抵のものではないらしいことが判明。
ここは本人に直接聞くのが手っ取り早かろう。
ということで、本人直撃へ。
…が、微妙に長いので次回へ続く。
(2008/09/01)
後編
「おまえ、あちこちにろくでもないこと聞いてるな」
「…バレバレなんだよ」
「おまえのサイズ?」
「なんだ、覚えてないのか?」
「おまえのパンツに書いてあった」
「胸?だから、堂々と下着干してありゃわかるだろ」
「バカよく考えろ。
俺の服と一緒に自分のスカート置いていったの忘れたのか?
洗濯物くらいちゃんと仕分けろ」
「他のやつのサイズ?
見てないのにわかるわけないだろ」
「そんな特技持ってるやついねーよ」
「ああ、でもあの頃よりおまえ太ったよな」
「そりゃ抱きかかえてみりゃわかるだろ」
「ついでに胸は少しは成長したはずだ」
「ベッドの上がどうした」
「謎が解けてよかったじゃないか」
「そんなに気になるなら今からサイズの確認してやるよ、ほら」
…琴子のサイズしかわからないらしいですよ。
ある意味、特技?
(2008/09/02)