斗南戦隊ホスピタレンジャー3




とある噂があった。

「俺、後期試験の脳外科学、落としそうだよ…」
「ああ、俺も…」
「あのスネイク・モリンがなぁ」
「俺も苦手なんだよな…。何かというと肩を叩かれたりして」
「そう言えば聞いたことないか?」
「何を?」
「何か交換条件で脳外科学の試験、可をもらったやつのこと」
「何か私用を頼まれるとか?こき使われるとか?」
「そうそう。しかも結構顔のいいやつしかだめなんだけどさ」
「お、俺、どうかな」
「…どうかな。でもその顔のいいやつっていう条件、ある意味怖くないか?」
「そりゃこ、怖いけどさ、背に腹はかえられねーじゃん」
「じゃ、一応、ダメもとで行ってみるか…?」
「おう!」


『おい、何だよ、これ。聞いてねーぞ』
『バカ、しゃべるなよ。脳外科学赤点』
『…わかった』

「また出たわね、ダイジャー・モリン」
「レッドはどうしたんです」
「取り込み中よ!(訳:緊急処置中)」
「ではグリーンは」
「さ、さぁ…?まだ着いてないだけじゃないのかしら」
「…そうですか」
「ちょっと、テンション低すぎるわよ」
「今日は気が乗らないので帰りましょう。ダイジャーの諸君、引き上げだ!」
「え、ちょっと、ダイジャー・モリン!!」


「ご苦労でした。またの召集にご期待いただきたい」

『って、これ一回だけじゃないのかよっ』
『でもさすがにこれだけで終わりじゃ、可はくれないだろ…』
『これって、手術着…?』
『…に見せかけた下っ端その1、の衣装じゃねぇの?』
『顔が見えないだけましか』
『でもよく見たら、なんだか知ったような顔もちらほらいないか?』
『確か衣装の下は詮索するな、という条件だったよな。誓約書も書いたよな』
『…ああ』
『なのに何でイケメンが条件なんだよ?!』
『…それにはあまり触れないほうがいいみたいだぞ』
『へ?』
『前回から少しずつ面子が変わってるのは、余計なことを詮索したやつららしいから』
『消えたやつはどうなったんだ?』
『…さぁ』
『赤点のためにがんばろう』
『そうだな』


こうして下っ端ダイジャーは常に補充されている…らしい。

(2010/03/21)
2010/05/29初出