ひとり言



1/2の永遠


もしも入江くんが死んでしまったら、あたしはどうするだろう。
…いなくなってしまっただけで、あたしはきっと生きていけないだろう。
入江くんがもしもあたしを嫌いになってしまって、もう会えないと言われたら、すごくすごく悲しくて何日も泣き明かすと思うけど、それでも多分生きていくと思う。
でも、もしも入江くんが死んでしまったら、もう二度と会えないとわかったら、あたしは自分が生きようと思ってもきっと生きていられないだろう。
でも、入江くんがあたしに生き続けて欲しいって言ったなら、あたしはきっと生きる努力をするだろう。
あ…、考えただけで涙出ちゃう。
入江くん次第でどうにかなってしまうって、なんだか危ない生き方だって、モトちゃんに言われた。
そうなのかな。
そうかもしれないけど、あたしにとって入江くんは、そういう存在なのだから。
いつか…、いつか入江くんと離れなければいけないときがやってきたとしたらってことは、時々考える。
それは入江くんがあたしを嫌いになるときか、入江くんが死んでしまうときか、あたしが死ぬときか、それはわからないけど。
でも、あたしは大事な人を見つけた。
それだけで幸せ。
ずっと、ずっと、永遠に愛していける人。


 * * *


もしも琴子に会わなかったら、俺はどんな生活をしていただろう。
もしも琴子を失ったら、俺はどうなってしまうのだろう。
自分で自分がわからないとき、そういう時は必ず琴子が関わっている。
琴子に初めてキスをしたとき、二度目のキス、あの雨の日、他の男の存在。
琴子がいなければ、俺はきっと今ほど苦労することはなかったし、今よりずっとスマートに生きていられただろう。
運命とかは信じない。
そんな言葉では片付けられない。
多分見つけるべくして見つけた俺の半身。
俺一人ではきっとどこか欠けた人間で、琴子が必要だとわかったから俺は手を伸ばした。
捕まえて、離さないように。
信号は既に青だったのに、俺はいつまでも赤のままだと思っていた。
赤のままでいいと気持ちを偽っていたんだ。
琴子がいなければ。
俺の世界は灰色のままだったかもしれない。
琴子がいなければ。
俺には別の未来があったかもしれないが、今となってはそんなの願い下げだ。
いなければ生きていけないのは、もしかしたら俺のほうかもしれない。


(2005/11/25)