ガールズトーク




それは女の子たちの間の話。

「もう、最近お肌が荒れて困っちゃう」
と桔梗幹が手鏡を見ながらつぶやいた。

女の子の…。

「…あら、何か文句があって?」

…いえ、何も。

「ねぇ、真里奈。あんた最近化粧品変えたとか言ったわね。
それ、どんな具合?」
「んー、まぁまぁってとこかな」
「あら、そう。智子はどんなの使ってるんだっけ?」
「自然派化粧水よ。琴子さんは?」
「あたしは…お義母さんからいただいたものだけど…、時々忘れちゃうのよね〜」
「それにしては琴子の肌って、悪くないわよね」
「え、そう?あ、入江くんだー!入江く〜ん…」

琴子が直樹に駆け寄って行った後、幹は手鏡の中の自分を見つめて言う。
「肌トラブルも少ないけど、あたしたちより年上の割にはしわもしみもないし…、その割にお手入れも適当みたいだし」
「でも、あのお義母さんご愛用の化粧水なら、相当いいものじゃないの?」
品川真里奈が幹から手鏡を奪って眺める。
「それにしては…ねぇ。
あ、啓太、あんたは?」
「は?女じゃあるまいし、そんなもんに金かけねーよ」
「聞くだけ無駄だったわね」
「でも琴子さん、入江さんといるとお肌の調子よさそうね」

小倉智子の言葉に皆は一斉に琴子を見る。

「あー、何だかわかったかも」
「何、何よ、真里奈?!」
「ほら、やっぱり男よね。こう、男によってホルモンがどばーっと出て、肌にツヤが」
「入江さん?…確かにいい男のそばにいるだけで良さそう…」
「それに琴子の場合、そばにいるだけじゃなくて、たっぷり愛されちゃってんだろうし」

「お、おまえらなー、何て下品な」
と真っ赤になって言う鴨狩啓太の言葉は誰も聞いてない。

「そう言えば、次の日ってお肌ぷりぷりよねぇ」
「次の日って…。肌に印のついた次の日ってこと?」
「それよりも時々妙にちょっとツヤっぽい時もあるわよね」
「…ああ、多分入江さんが何かした後でしょ」
「やっぱそうなのかしら」
「それより真里奈はどうなのよぉ」
「んー、最近いまいちかなぁ」

「もーやめてくれ〜」
啓太は片手で耳を塞ぎ、トレーを持って移動することに。

男には(?)聞かせられない昼休みの話。


(2009/07/19)