選択2 熱(おまけ)
次の日、熱の下がった入江くんは、目覚めるとあたしに言った。
「…熱は下がったみたいだけど」
「あ、ホントだ。よかったね、入江くん。じゃあ、早速お祝いしようかな」
「そうだな。…仲良くしたいんだろ?」
昨日の続きかと思うくらい機嫌よく入江くんはそう言った。
「………え?!」
あたしは昨日の入江くんが眠りに就いたときのことを思い出した。
「いり…、き、聞いてたのねっ?!」
恥ずかしいセリフを思い出して、あたしはベッドの端まで移動しようとして、入江くんに抱きすくめられた。
「何で覚えてるの〜〜〜」
入江くんは笑った。
「俺は一度聞いたことは覚えてるんだよ」
うそ。
必要なこと以外覚えないじゃない。
…って、ことは、必要なの?
抱きしめられた腕の強さに顔がほころぶ。
「誕生日おめでとう」
「それは聞いた」
「えっと、プレゼントはちゃんと他にあるんだよ?」
「それも知ってる」
「じゃあ、えっと…仕事はどうする?今日もお休みするの?」
「…そうだな。このままベッドの中で過ごすのも悪くないかな」
そうイタズラっぽくまた笑う。
「だから…」
「だから?」
入江くんの瞳を見返したあたしに耳元でささやく。
…仲良くしようぜ。
(2006/11/06)選択2 熱(おまけ)−Fin−