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「琴子ちゃん、寝てなくてよかったの?」
「こんな時に寝てられますか」
琴子ちゃんの鼻息は荒い。
「また無理して倒れないでよ」
桔梗君は呆れながら言う。もう諦めているようだ。
「あれから、吐きながらもしっかり食べたわよ」
「そ、そう」
吐きながら食べるって、どんな感じ?
「そりゃもう、食べては吐き、食べては吐き。いつの間にか吐くのもプロよ」
そんなプロは嫌だ。
「でもね、入江くんが、これなら食べられるだろうって」
へー。
「あたしのためにね、オレンジプリンを作ってくれたの」
ほー。
「入江さんの手作り?!それ、どんなの?」
ふーん。
「いや、それよりも、来たみたい、だけど?」
* * *
明日か!板 全部 1- 最新50
【モテ杉】モテ男の相談所【困ってます】[転載禁止]
182 :眼鏡紳士
実況中継
尾行開始
183 :モテ杉名無しさん
キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
184 :モテ杉名無しさん
キタ*・゜゚・*:.。..。.:*・゜(゚∀゚)゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*!!!!
185 :モテ杉名無しさん
+(0゚・∀・) + ワクテカ +
186 :眼鏡紳士
おっと、嫁ちゃん変装中
いや、それはどうか…
老女は普通のかっこうだった
ホッ
モテ杉後輩、相変わらずあまり愛想ない
187 :モテ杉名無しさん
嫁ちゃん・・・変装って
188 :モテ杉名無しさん
尾行イコール変装という考えじゃなかろうか
189 :モテ杉名無しさん
嫁ちゃん面白すぎ
* * *
変わらずの無表情だが、一応志乃さんをエスコートしている。
まあ、御老人だしね、人ごみだし。
でもなぜここで待ち合わせ?
「あたしだって一回しかここで待ち合わせしたことないのに」
隣で琴子ちゃんがそう言って唸る。
君たちデートしたことないの?
「あたし、看護科に受かった時に一回だけ待ち合わせてデートしてもらったんです。ご褒美に」
「一回だけ?」
思わず桔梗君と声が揃う。
「それが…」
「あ、歩き出しましたよ」
桔梗君の促しに僕たちはいよいよ後をついていくことにした。
「ところで琴子ちゃん、その変装、やめておかない?」
「そうね、余計に目立つわ。まるで入江さんのお母様みたいに」
桔梗君の言葉に琴子ちゃんは無言で変装のつもりだったらしいサングラスと帽子を外した。
そもそもあの生意気な後輩は琴子ちゃんが尾行してること知ってるんだよね?
「あ、手を取った」
一応御老人だしね、段差あるし。
「あ、握りしめた!」
「琴子ちゃん、声抑えて」
「あらうらやましい」
そして二人は早速カフェに入っていった。
あの店内は結構狭い。
入るべきか、外から見守るべきか。
* * *
190 :眼鏡紳士
二人、カフェの中へ
店内は結構狭いので、中に入るべきかどうか検討中
191 :モテ杉名無しさん
入れ!
192 :モテ杉名無しさん
入ってくれ
193 :眼鏡紳士
ちょうど老女が入口を背にして座ったため潜入することに
見つからないように勝手に観葉植物を移動させる
一度解いた変装をもう一度使用することに
嫁ちゃん、僕のメガネに帽子でどう見てもくいだおれ人形
僕は眼鏡をはずして毛糸の帽子をかぶる
そうするとちょっと見ではわからないって言われたことあるからね
まあちょっと視界が悪くなるのが困るけどね
同僚は嫁ちゃんのサングラスを借りて、自前のツバ広帽子をかぶる
どこかのマダムみたいだ
いや、男なんだけど
* * *
おや、何か話が始まったようだ。
志乃さんの声は小さくて聞き取りにくい。
え?オーダー?
ああ、はいはい、こちらのオーダーね。
僕はコーヒーで。
あ、琴子ちゃん、ここで吐いちゃだめだよ。
ん?僕のおごりかって?
何でだよって、あ、ほら、志乃さんが…。
(2015/12/07)