その5:文庫版5巻
5巻はイベントいっぱいです。
琴子の誕生日にクリスマスに成人式、バレンタイン。
いつも入江くんの誕生日が飛ばされているのはなぜでしょう。
入江くんはイベントごとが好きではないのであえて飛ばしたのか、時期的に合わなかったとか。
全巻通して入江くんの誕生日を盛大に祝っている場面がないのですが、まあ影では何かあったと思いたいところです。
でも入江ママいわく、誕生日を盛大に祝ったのは5歳まで、らしいので、きっと入江くん冷めちゃってて、話的に面白くないのかもしれません。
まあ、そういう話のすきまをぬって妄想を繰り広げるのが二次小説の醍醐味でもありますが。
まずは琴子の誕生日。
図書館で病理学の本を見ている入江くんに琴子が叫びます。
ずばり医者になるのかと言われた入江くんは、どう答えようかと一瞬戸惑ったことでしょう。
「…」に躊躇がうかがえます。
でも、やはり違うとは言わずに「どうして」と返します。嘘はついていません。
その後松本妹の勉強を見る約束をしますが、この辺りは何考えてるんでしょうね。
琴子の誕生日だとわかっていながら意地悪でそう言ったのか。
ただの意地悪だと思いたいところです。
テニスの大会では、松本妹が出られなくなり、入江くんとペアで出場することになります。
ダブルスの試合なのに、試合してるのは入江くんだけ。
さすが入江くんです(笑)。
そして会社でのアルバイトに続きます。
うーん、琴子を部下に持つと楽しそうだけど、苦労しそうだ。
全然話とは関係ないところで突っ込んでいいですか。
会社の女性社員が入江くんが20歳と聞いた時の反応。
女を知らないだの、落としちゃえばイチコロだの、…それはどうかと思うよ(笑)。
入江くんて、お姉さま方が裸で迫ってもさらっと無視するか、逆に大胆に迫って手玉に取りそうです。
て、手玉に取られたい…(オイオイ)。
さてクリスマス。
琴子が一人なのを察して入江くんはわざわざ帰ってきます。
ケーキを買ってチキンを買って帰る道すがら、きっと琴子の喜びようを想像して一人微笑んでいたことでしょう。
ケーキを切る場面で終わっていますが、おそらく入江パパたちが帰ってくる前にさっさと帰ったのでしょね。
新年になり、琴子が引いたおみくじは大吉。
先生はこのときすでに琴子と入江くんをくっつける算段をしていたと思っていいのでしょうか。
入江くんは大凶。
何に対して?パパの入院?会社の倒産危機?琴子のこと?
ま、結果的には琴子とくっついたから災い転じて福となるですね。
成人式の夜、入江くんとママは進路のことで大喧嘩。
捨て台詞が「こんな束縛される家」ですが、坊ちゃんというのは大なり小なり将来は決められているものです。
あまりに貧乏でももちろん先の制限はある程度出てくるでしょうが、かえって一般庶民のほうが好き勝手やれるのも世の常。
そんなことを考えると、甘ちゃんな入江くんは坊ちゃんなんだなぁと思うしだいです。
医者になるにしろ、普通の人はよほど学力がないと(奨学金を当てにしても、という意味です)ポンと医者になるための学費は出せません。
自分がどれほど恵まれているのか、わかっているのでしょうか。
わかっている上で選択したのだと思いたいところです。
入江くんは学力にも恵まれているので、その点は心配ないにしても。
ちっ、つくづく完璧です。
そしてようやく裕樹君による回想シーンで入江くんの清里での真相がわかります。
キスした後も平気でいられる入江くんは、絶対むっつりに違いない(何気に断言)。
後で思い出したりしないのでしょうかねぇ。
後で思い出してほくそ笑む入江くん。…それもちょっとヤダな(笑)。
将来のことを誰よりも先に琴子に打ち明けるところは、やはり琴子が好きなんだなぁと思わせるところです。
その後に続く松本姉へ琴子とのキスを告げるところ。
松本姉とはそういうことをしたくないとまで言っているのに、琴子はそこまで聞いてもなお、まさか入江くんが自分のことを好きだとは思い至りません。
相手が入江くんだからでしょうね。
でも入江くん自身もこのとき自分の将来のことでいっぱいいっぱいで、琴子を受け入れる余裕があまりないのです。
どうしたらいいのか自分でも判断つきかねている状態なのではないでしょうか。
好きだと言ったら最後、どうなるか想像つきますからね。
だから松本姉への答えは「わからない」だけど、「琴子とキスした」なんだと思います。
(2006.06.11)