Onesided Love Story




第二章 十六歳〜真実〜



四月

クラス替えがあった。
二年生から理系と文系に分かれるため、当然仲の良かったメンバーは見事にばらばらになった。
幸いなことにマリとミキは同じクラスだった。
…そして、あいつも。
クラス名簿にあいつの名前を先に見つけて、少しだけ複雑な気分だった。
それは、クラスが離れてしまえば告白する勇気が持てたかもしれなかったのにということと、また一年間そばで見ていられるうれしさの反面、自分の失敗その他もやはりあいつに見られてしまうということだった。
まあ、あいつがあたしを気にするなんてこと、ほとんどないとは思うけど。
ミキは中川君と離れることを知っていたから告白したのだと言う。
春の暖かい日差しの中で、時はゆるゆると過ぎていく。
中庭の桜の下で掃除をしながら、あいつと過ごすこれからの一年が、あたしにとっていいことなのか悪いことなのか考えていた。
花びらはあいつの頭の上にも降り注ぐ。
柔らかそうな少し明るい色のあいつの髪。
あいつにとってあたしはただのクラスメート以下かもしれない。
あいつと交わした会話は全て覚えていられるほど、この一年はほとんど話したことはなかった。
きっと今年も話すことはないだろう。
少しでもあいつに近づきたいという想いと、あいつのことをもっと知りたいという想い。
あいつが好きだと言った音楽を聴いてみた。
あいつが気に入った本を読んでみた。
あいつが食べていたパンを食べてみた。
こんなことでは到底あいつを理解できるわけないけど。
急に強い風が吹き、花びらが舞い上がって花吹雪となった。
手で髪を押さえて目に砂埃が入らないように振り向いたら、あいつと目があった。
あいつはなぜか真っ直ぐこちらを見ていた。
そのことにあたしはひどく驚いて、あせって竹箒を動かした。
ただの偶然にそこまであせることはなかったし、あいつが必ずしもあたしのほうを見ていたとは限らないのに。
ただ、今までにないくらい真っ直ぐな目をしたあいつに驚いたのだ。
そのとき開いた手の中に偶然落ちた花びらをずっと捨てられなかった。
まるで、持っていれば恋が叶うとでもいうように。
その日のあいつの目をあたしはなかなか忘れられなかった。


(2005/10/15)


To be continued.